変性性関節疾患で、体の片側より反対側の症状がひどくない場合には、跛行がいっそう目立つようになります。
対称的な変性性関節疾患では目立った跛行はみられませんが、筋のこわばりが認められるため、運動や動いたりすることが困難になります。
診 断
獣医師は、関節を曲げたり伸ばしたり回したりして、犬の可動範囲と疼痛の程度を調べます。関節を曲げることで捻髪音を判断します。
乾いたきしるような音がした場合には、関節軟骨が磨耗している可能性があります。X線検査によって、関節腔の狭小化、磨耗、骨新生、関節腔内へのカルシウム沈着、またはほかの病理学的異常を診断します。異常の程度で変性性関節疾患が発生してからどのくらい経過しているかの判断をします。関節内を直接観察する関節鏡検査と関節液の分析を行うこともあります。
治 療
原因にかかわらず、変性性関節疾患には共通の治療法があります。大切なことは、犬の体重を制限することと、無理のない運動をつづけることです。痛みはさまざまな方法で抑えることができます。非ステロイド性抗炎症剤は効果的で、ほとんどの犬において、長期間、安全に使用することができます。非ステロイド性抗炎症剤のなかでも、メロキシカムとカルプロフェンは効果的です。
非ステロイド性抗炎症剤は、変性性関節疾患の痛みを劇的にやわらげることができますが、胃腸障害などがみられることがあります。非ステロイド性抗炎症剤が痛みをやわらげる唯一の方法である場合には、獣医師は胃を保護し潰瘍を予防するために、ミソガロストールまたはスクラルフェートのような薬を併用します。
カルプロフェンによる長期間の治療を受けている犬は、肝機能を調べるために定期的な血液検査をします。なぜなら、カルプロフェンは肝機能障害を起こすからです。
予 防
関節軟骨を保護するための軟骨保護剤が市販されています。もっとも一般的な軟骨保護剤は、グルコサミンとコンドロイチンです。これらの自然な軟骨保護剤を添加しているドッグフードもあります。また、栄養補充剤も使われます。これらの薬剤は無害ですが、変性性関節疾患の犬は、それぞれ個体差があるため、この栄養補充剤の二重盲目効果試験は行うのが困難で、結果も決定的でない場合があります。
経口栄養補充剤は関節痛を軽くして関節を維持します。必須脂肪酸のなかには抗炎症物質の前駆体として働くものもあり、また抗炎症物質そのものとして働くものもあります。これを治療に応用するのは、少なくとも論理上は可能です。
海産魚の油に含まれる必須脂肪酸とあまに油は、とくにEPAとDHAという2つの物質である”抗炎症”必須脂肪酸を多く含有しています。これらを犬の食事に加えると関節炎がやわらぎ、痛みも緩和します。ただし、どれくらいのEPAとDHAが症状の緩和に必要なのかは、今のところよくわかっていません。 |